バキュームチャック

2007/1/3
ウッドターニングで一番チャッキングし難いのが、掴み代の無い薄板とか円形以外のもの。そこでWT-300で使えるバキュームチャックアダプターを作る事にした。で、先ずはロータリージョイントの製作です。図面。 ただ、肝心の真空ポンプを手に入れる見込みが立っていないのです。中古の掘り出し物でも探そうか・・。
1.ホースとの接続口になるカプラです。日東工器の3TPM R3/8。最初はナイロンのワンプッシュ継ぎ手を使おうと思っていたのですが、たまたまジャンクboxを掻き回していたら出てきたものです。
2.カプラのPT3/8ネジ部をベアリングに挿入出きるように、ø12m/mに切削する訳です。カプラ内径はノックアウトバーが挿入できる10m/mなので、常時装着していても問題無い筈です。WT-300で金属も切削できますぞ。
3.フランジ部を作ります。材はゴムの木です。アルミかジュラルミンで作りたかったのですが・・。スクリューチャックで外形をø57に仕上げます。
4.ベアリング(#6001LLU)を挿入するハウジングの加工。
5.フェイスプレートへ固定する為の、CAPスクリュー穴を明けます。最初はø9mmで座グリ、次にø6mmで貫通です。
6.M5タップ加工。鋳物なのでスイスイです。
7.ベアリング、カプラをフランジアダプターに組み込み、フェイスプレートに固定します。ネジで仮止めしてからダイヤルゲージで芯を出します。
8.ネジを締め付けてアダプターの取り付け完了。取り付けた状態でノックアウトバーも挿入できます。
9.試しにカプラを握ってスピンドルを回してみます。「おぉ〜スムースだ」振動も無く回っております。
10.メスのカプラを取り付けるとこんな感じです。周り止めステーは後回しだ。

2007/1/7
いよいよバキュームチャック本体の製作です。フェイスプレートを使うのが一般的なようですが、今回はアキスミンスターのチャックにそのまま装着できるように設計しています。チャックの取替えの煩わしさが無くなり、使い勝手はかなり良いと思われます。図面
アタッチメントを取り替える事により3種類の大きさになる優れものになる筈です。
11.先ずはアキスミンスターのチャックに取り付ける本体の製作だ。先端にボンドG-17を塗り、乾くのを待っている状態です。材質はよく分りませんが欄干なんかに使う南洋材で、緻密で非常に硬い木材です。
12.WT-300のスピンドルと接する部分には、発泡ネオプレンシートをガスケットとして貼り付けた。密閉性はかなり良い。
13.反対側のマウスにも発泡シートを貼り付けて、ミドルサイズ(φ88mm)バキュームチャックの完成です。奥に見えているガスケットは、スモールサイズのアタッチメントを挿入した時のシール用です。
14.右側がスモールサイズ(φ57mm)のアタッチメントです。
15.スモールサイズを使うときには、このように差し込みます。
16.ラージサイズ(φ146mm)アタッチメントの製作です。空気の流れを作る為、円周方向に溝を切ります。
17.放射線状の溝を切るには、象嵌用に作ったトリマベースアタッチメントが役に立ちます。10m/mのストレートビットを使います。
18.溝が付くとそれらしくなって来ました。このアタッチメントは真ん中を刳り抜いていないので、直径の大きい盆とか皿を吸着しても破損する虞が無いと思います。発泡シートは1mm突起していますが、ワークを吸着した時には縮む予定です。
19.ラージアタッチメントを使うときには、バキュームチャック本体に差込ます。
20.1台3役のバキュームチャックを早く使ってみたいものです。ラージチャックは掃除機でも使えると思います。たぶん・・。さあ、次は真空ポンプを手に入れるだけです。普通と順番が違うんだよなぁ。

2007/3/1
リサイクルショップに頼んでいた、中古のバキュームポンプが届いた。以前作っておいた配管を接続して試運転開始です。このアイテムって使ってみると便利だし実に楽しい。これからもアタッチメントを増やして楽しむ余地はまだまだ有りそうだ。Piping
1.真空ポンプはmitsumiのMP-40-V。排気57L/min、到達真空度6.3KPa、100V、200W。サクション側にフェルトのフィルターが附属しいるが、その上に熱帯魚用フィルターを重ねてライフの延長を図ることにした。
2.レギュレーターバルブのサクションフィルターは、Yストのエレメントの中にメッシュを敷き、これまた熱帯魚用のフィルターを詰め込んだ。また、両端の蓋はハードウッドで自作し、片側にはφ8m/mナイロンチューブジョイントを捻じ込んでいる。
3.配管をWT-300の安全カバーに装着する為に、木製のブラケットを製作します。二つ割の板をクランプして穴を明けているところです。
4.チーズ用の穴を2箇所明けて完成。配管はこのように収納されます。
5.ユニークなブラケットが出来た。常識のある機械屋はこんなもの作らないだろなぁ・・。普通はUボルトかバンドだよな(^^)。レギュレーターはボールバルブで代用し、先端にはサクションフィルターを取り付けた。
6.ロータリージョイント周辺。ジョイントには回り止めと振動を抑えるために木製のステーを取り付けた。使わないときはカプラと一緒にワンタッチで取り外せます。
7.圧力計はワークの把持状態を確認しやすいように、見やすい位置に付けた。ワークを吸着し芯出をする時はレギュレーターバルブを全開にし、切削を始める前に締め切って強力に吸着します。大径の場合、ワークが破損しないように圧力を調整する事も必要だと思いますね。一般的には-0.06MPa以上が目安になっているようですが、臨機応変に調整するのがポイントかな。
8.試しに杢が綺麗なマドローネ・バールの薄板を円盤に挽いてみた。直径が60m/mしかないが、剥がすことが出来ないくらい強力に吸着しています。この時の圧力は-0.07MPa。これだと大きい径では余裕で吸着できるでしょうし、逆にワークが破損しないように注意が必要になりそうです。
9.以前作ったリングチャックにウレタンパッドを当てると、バキュームチャックとして充分使えそうだ。強度が心配だけど何とかなるでしょう。
10.フェイスプレートにビス止めする一般的なバキュームチャックも作ってみた。寸法をミドルサイズに合わせているので、スモールとラージアタッチメントをそのまま使うことが出来るのです。

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