1998/12/10

◆アラル海
中央アジア、カザフスタンとウズベキスタンの国境付近に位置するアラル海は、最近まで世界で4番目、琵琶湖の100倍の面積を有していました。
◆ところが、1960年以来縮小の一途をたどり、面積は半分、水量は70%以下、水深においては15mも低下してしまったのです。
もともと平均水位15m、最大水位68mしかないアラル海の広範囲は陸地になってしまったのです。また塩分濃度の大幅な上昇によって
年間5万トンも取れていた魚が、まったく取れなくなりました。

◆湖の水が蒸発すると、以前湖底であった陸地が乾燥して塩分の結晶が白く残ります。そしてこの塩分を含む砂が風によって巻き上げられ
広範囲の農業地帯に降り注いでいます。その量は年間7500万トンといわれ、1平方メ−トル当たり1.5Kgに相当します。
そんな土地では植物は育たず、広範囲にわたって生態系が破壊されているのです。

◆人間にも影響が出ており、湖の周辺では喉頭ガンが風土病となり、飲料水の汚染で貧血、チフス、肝炎、胆石、腎臓病、結核が多発しています。
◆なぜこうなったか
原因は人間による乱開発のようです。当時のモスクワ政府が不毛地帯だったアラル海周辺を綿花地帯にしようとして、アラル海に注いでいたアムダリア川と
シルダリア川を堰き止め、灌漑用水として使ったのです。計画通りに綿花は増産されましたが、川の水は湖に流れ込む前に使い尽くされたのです。
このままでは2020年までにアラル海が消滅してしまう恐れもあります。

◆「水資源」の危機はアラル海だけだはなく、地球上のあらゆるところで起こっています。また汚染によっても危機に陥っています。
◆日本の琵琶湖も危ないのです。アラル海の2.7%しか水量が無いのに京阪神の水瓶として使われ、更に大量の生活排水も流れ込み汚染が続いています。
このままでは、いつまでもつか心配です。湖産鮎が姿を消すのも、時間の問題かも知れません。


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