1999/03/28

◆ダイオキシン(Dioxine)とは
分子中に塩素を含むポリ塩化ダイベンゾ・パラジオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾ・フラン(PCDF)にコプラナPCBを加えて「ダイオキシン類」として扱うことが多いようです。
これらは毒性の強さが異なっており、もっとも恐れられているのが2・3・7・8四塩化ダイベンゾ・パラジオキシン(TCDD)です。
(PCDDには75種類あって塩素の引っ付く数と位置によって形が変わるのです)
この恐れられているTCDDは人工物質として、地球上でもっとも強力な毒物の一つで、体重60kgの人が0.04mgを摂取すると半数が死亡すると云われています。
この毒性はサリンの2倍、青酸カリの1000〜10000倍とも云われています。但し、天然の毒素の中にはすごい菌がいて、ボツリヌ菌や破傷風菌は更に強い毒性を持っているようです。

◆なぜダイオキシンが発生するのかを考えてみましょう。
一般的には「エンビを燃やすと発生する」と考えられているようですが、実際は炭素・水素・酸素・塩素が熱せられ工程で意図せずに出来てしまうのです。特に300〜600℃で不完全燃焼させると出来やすいようですが、発生のメカニズムは解明されていないようです。
つまり、塩素系化合物は出来やすいけど、紙でも木でも布でも塩素は含まれていますので、どんな物でも燃やせば発生すると考えた方が良いでしょう。
要するに物を燃焼させると発生するのです。焼却場だけでなくたき火や火災でも発生します。私が幼少の頃はどこの家庭でも”かまど”でご飯を炊いて、味噌汁を暖めていたものです。でも丈夫に今日まで育ってきました。
”かまど”が台所から姿を消してずいぶんになりますが、最近になって焼却場付近から高濃度のダイオキシンが検出されていることを考えると、昔のように一時的に小さな規模で燃やす場合は、環境上の影響は極めて小さい程度の量しか発生していなかったと考えられると思います。
現在の焼却場のように一個所に集中して、大量になんでも燃やす場合には周辺環境を変えるほどの量が発生するのではないでしょうか。

◆ダイオキシンが人間の体内に取り込まれるルートは食べ物が一番多いようです。大気中にバラ撒かれたダイオキシンは土、川、海に落ちプランクトンや魚などに食物連鎖を通して蓄積されます。ダイオキシンは脂肪に溶けやすい為
脂肪分の多い魚、肉、乳製品、卵などに含まれやすくなります。逆に野菜類は根から水を吸い上げることによって濃縮されることは少ないとされています。バランスの取れた食事をした方が良いようですね

◆それではどうしたらダイオキシンを減らせるのでしょう。
燃焼させる場合には800℃以上、排ガス温度を200℃以下にする等のハード的な改善も必要でありますが、その発生のメカニズムから考えても、ゴミを燃やさないことが一番でしょう。私たちの生活習慣を変えゴミを極力減らすことが大切です。「Green Consumer」の実践です。
塩ビ業界の方には、今後とも自分の作る製品が発生源の一つであるという認識を持ちつづけて欲しいし、また私たち消費者も可燃性ゴミを出すことが、ダイオキシンの発生に繋がるということを認識すべきでしょう。

◆さて、釣り好きの私にとってダイオキシンが野生動物へ、どの程度影響するか気になるところですが。残念なことにアメゴ達は様々な化学物質にさらされていますので、ダイオキシンのみの影響は不明です。
しかし、ダイオキシンが雨で流される−プランクトンが吸収−川虫が食べる−アメゴは川虫が大好きと云うような食物連鎖により段々濃縮されることは間違いないでしょう。
脂肪に蓄積されることを考えると、生物濃縮は相当な倍数になると思います。
◆釣り師の昼食はレトルトが多いと思いますが、河原で燃やすのはやめましょうね。何千倍もの濃度になってかえってきますよ。


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