1999/06/27
◆地球温暖化とは
産業革命から現代までの約100年間で、地表の平均気温は約0.5℃上昇していると云われています。産業革命までの1万年間では1℃の上昇です。わずか100年間で0.5℃の上昇がいかに急激で激しいかを物語っています。
この温暖化の原因は大気中のフロン、メタン、CO2による温室効果ですが、一番排出量の多いCO2が主因と云われています。
1896年、スウェーデンの科学者アレニウスは早々とCO2による温暖化を指摘し、その後も多くの科学者が温暖化に警笛を鳴らしてきた結果、1988年のトロントサミットにおいて、この問題が取り上げられました。それ以来世界的な問題として取り組まれているのです。
◆しかし、現在でも大気中のCO2は増え続けています。毎年、炭素換算で33億トン増えているともいわれているのです。
CO2の発生の原因は言うまでもなく、燃焼にあります。物を燃やすと発生します。石炭・石油の化石燃料が発見されて以来燃やしつづけ、更にCO2を吸収する森林を伐採しつづけた結果が現代にあるのでしょう。
石油は植物から何億年もかかって出来ましたが、人類はわずか1〜2世紀でこの遺産を食いつぶそうとしています。
◆温暖化が引き起こす地球規模の問題を考えてみますと、氷河の溶解や海水の膨張による水位の上昇で沿岸部に住んでいる人たちが居住場所を失うこと。また、異常気象によって水害、干ばつが起こり農作物に影響を及ぼすことが考えられます。
南極の氷が全て溶けると海面が60mも上昇するといわれています。60mはオーバーですが、例えば1m上昇した場合日本の砂浜の90%が消失し、410万人以上の人が満潮時水位の下で、高潮におびえながら生活することになるようです。
作物、特に世界の食料を支えている小麦が取れなくなると世界的な食料不足がおきるし、日本でも豊作と凶作の差が激しくなり、危険な状態になるでしょう。
その他にも生態系への影響、森林の衰退、アラスカやシベリアの永久凍土溶解によるメタンの放出での加速的な温暖化等が懸念されています。
◆それではCO2の排出を少なくする方法を考えてみましょう。
私たちが「夏は涼しく、冬は暖かく」「車でちょっと買い物」等の生活習慣を改めることも大切ですが、国家レベルで最近期待を集めているCO2の分離と固定化を紹介しましょう。
CO2削減策としては、CO2が発生しない燃料を用いること例えば自然エネルギーや原子力です。もう一つは排出ガス中のCO2を回収することです。前述した最近期待を集めている技術はこの方法です。
分離は液体による吸収法、ゼオライト等による吸着法、高分子膜を使った膜分離法が研究されています。中でもエネルギーコストが低い膜分離法が将来有望視されています。この分離したCO2はメタン、エチレン、エタノールにリサイクルする方法が研究されています。
◆固定化技術とはリサイクルではなく、回収したCO22海水や植物に吸収させて大気に出ないようにする技術です。
海水中には大気中に存在するCO2の50倍もの量が溶けています。しかし、実際に溶解している部分は海水の表層部だけなので、もっと深い部分へ放流し貯蔵しようとする方法が「海洋貯蔵法」と呼ばれています。1000〜2000m以上の深さに放流するとCO2は液体化して世界の海に拡散します。
また、3000m以上になるとシャーベット状になり海底に貯まっていきます。しかし、この方法も限りがあって例えば日本海溝に貯めた場合、約150年で満杯になるようです。
◆植物がCO2を酸素に変えるのは小学校の時に学びましたが、現在排出されている大量のCO2を吸収させるには広大な面積が必要であり、無理があるような気がします。但し、ものすごい吸収・消化のいいバクテリアや藻が発見されれば、話は別ですけど。
やはり原点に返って消費一辺倒の生活スタイルを変えることが一番ではないでしょうか。「もったいない」精神です。
最近話題になっているビジネスシャツ「エコシス28℃」は軽くて風通しが良く、冷房温度28℃でも快適に仕事が出来るように設計されているようです。環境に優しい商品を使うのも重要なことでしょう。
◆四国でもここ数年異常気象らしきもを感じます。猛暑、渇水、冷夏。中でも渇水は鮎にとって死活問題です。春先は遡上ができず、夏場はコケが腐り食糧不足となり、秋になると産卵の為に川を下るのですが、川が途切れているとどうしょうもありません。
鮎は一年魚ですから循環サイクルが途絶えると消失してしまいます。高価な鮎竿を無駄にしないように真剣に考えましょうネ(^^)。